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執筆者の写真GUEST HOUSE IOLY 庵 OSAKA

結婚パーティー

今年1月に近所の北岡会館で開催された新年食事会での余興として歌と演奏を披露する機会をいただいた際に、去年、ゲストハウス庵に宿泊された大阪府箕面市在住の男性にお声掛けして、一緒に歌と演奏をして以来、私はギターと歌、彼は歌とギターとサックスで、藤井寺市の音楽カフェJAMJAMでのライブにAmino(アミノ)というユニット名で何回か出演しました。


そんな彼の知り合いの知り合いがこのたび結婚し、その結婚パーティーをするので、そのパーティーで歌と演奏を披露してくれないか、と彼に声がかかり、私たちのデュオでそれに応えるのはどうか、と彼が話をくれました。

もちろん、断る理由などありません。

「では、ハッピーでロマンティックな選曲がいいですね。」と私。

しかし、振り返ってみると、今まで北岡会館やJAMJAMで歌ってきた私たちのレパートリーには、ハッピーでロマンティックな曲があまりありませんでした。💦 

唯一、エルビス・プレスリーの 'Love Me Tender' だけが、ロマンティックな曲といえました。

石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」もロマンティックな曲と言えるかも知れませんが、しかし、この曲は「しのび会う恋を~♬」と、人目をはばかっています…。結婚パーティーにふさわしい曲とは言い難いですね…。🥃


そこで、相方の彼は「夜霧よ今夜も有難う」の歌詞を独自に変えて、よりハッピーでロマンティックな曲にしようとし、実際に歌詞を変えたものをドラフトとして私に送ってきたりしました。

一方、私は、それまでの私たちのレパートリーにはなかったけどお互い知っているビートルズやエリック・クラプトンの曲で、ロマンティックな曲をいくつか挙げて、

「 'Here, There, and Everywhere' はどうですか? 'And I Love Her' はどうですか? 'Something' はどうですか? 'Wonderful Tonight' はどうですか?」と投げかけてみました。

すると、彼の反応は、

「曲はどれも素晴らしいですが、'She' や 'her' が気になります。」というもの。


へ!?


どういう意味!?


というのも、この結婚は、男性同士によるものとのこと。

なので、'she' や 'her' が当てはまらないということでした。

なるほど…。☕

「'She' や 'her' を 'He' や 'him' に変えて歌うのはどうですか?」と彼。

確かに、英語圏ではビートルズなど男性の楽曲を女性歌手がカバーする際にタイトルや歌詞の 'She' や 'her' を 'He' や 'him' に変えて歌うことはよくあります。

しかし、この状況で私たちが 'He' や 'him' に変えて歌うのはなんだか違う気がします…。

「もう、'She' や 'her' や 'He' や 'him' でなく、'you' に変えよう。」などと試行錯誤していましたが、相方の彼が元々の知り合いである主催者の方とやり取りを進めていくうちに、こちらが提案した選曲とは異なる、主催者側の曲のリクエストがありました。


何回かのやり取りの末、最終的にはこちらが提案した1曲と、主催者側のリクエストの2曲の合わせて3曲になりました。こちらが提案したのはプレスリーの 'Love Me Tender'。もう2曲は、ビートルズの 'Let It Be' と、The Boomの「風になりたい」でした。

'Let It Be' なら、Aminoのレパートリーには入ってないけど、私も彼も歌ったことも演奏したこともある、お手のものです。👌

課題曲となったのは、The Boomの「風になりたい」でした。


この曲を私はあまりよく知りませんでした。

そもそも、原曲を聴いたことがありませんでした。

では、どこでどう聞きかじったかというと、ワーキングホリデーでオーストラリアにいたときに、ホステルに長期滞在していた他の日本人バックパッカーたちが夜な夜なホステルの庭で飲みながらみんなで歌っていたのがこの曲だったのです。


「あなたと~かぜに~なり~たい~」の一節を聴く、または思い浮かべるだけで、自由奔放なオーストラリアのバックパッカーたちのホステル生活が思い出されます…。


そのとき、その曲を知らなかった私は、みんなが楽しそうに歌うのを聴いていただけでしたが、その曲を、10年以上の時を経て、いま私がここ日本で歌う側になろうとは…。


このたび、この曲を動画サイトで聴いてみて、ビックリ。

曲調、コード進行、リズム、間奏、その全てがサンバではありませんか!

私が愛してやまない、ブラジル風な曲ではないですか!!


というわけで、'Love Me Tender' と「風になりたい」を私がボーカル、'Let It Be' を相方の彼がボーカルという組み合わせで、練習を進めていきました。


結婚パーティー当日。

会場は、兵庫県尼崎市大物駅の近くにあるイベント・スペースでした。


大物…。


「大物」と書いて「だいもつ」と読むのですね…。阪神なんば線または阪神本線で大阪市西淀川区から川を越えてすぐのところでしたが、県境を越えたとたんに、大物駅周辺で見かけた車のほとんどが神戸ナンバーでした。☕


会場では、主催者の方々と、参加された方々、そして主役のお二人が一同に会しました。

主役のお二人のうちの一人は、フィリピン系イギリス人の男性。もう一人は大阪出身、大阪在住の日本人男性でした。

フィリピン系イギリス人の彼は、フィリピンのマニラで生まれ、その後、家族でイギリスに移住した経緯を持ち、大阪の大学に留学中に現在の伴侶の彼と知り合ったそうです。フィリピンからイギリス、イギリスから日本へと移住したわけですが、彼曰く、「(日本への移住は)同じアジアに帰ってきた感覚だ。」だそうです。


それを聞いて、私が思い出したのは、私がイギリスに住んでいたときに目にしたとある新聞の見出しです。その見出しには 'ASIANS ~' とありました。「アジア人が襲撃」だったかなんだったか、穏やかではない出来事で、その主が「アジア人」とあったので、「(イギリス国内で)どの国の人の事件だろう?」と気になり、記事の本文を読んでみると、それは、日本人でも韓国人でも中国人でもなく、パキスタン人でした…。


それを読んで私は軽いショックを受けました。

「アジア」の定義の広さに打ちのめされました…。


イギリス在住の日本人であった私がイギリスの新聞の見出しに 'ASIANS' とあるのを見ると、「日本人のことか!?」と思うのは自然なことのように思われましたが、しかし、思えばアジアは、東は日本から西はトルコまであるのでした…。もちろん、パキスタンもアジアでしたね…。🍵

さらに、パキスタンやその周辺各国を「中東」と呼び、日本などを「極東」と呼ぶのは英語ではそれぞれ 'Middle East', 'Far East' と呼び、イギリス、ひいてはヨーロッパ目線の呼び名なんだな、と痛感しました。はたして、イギリス、ヨーロッパが真ん中に来る世界地図では日本は東端にありますね。🗺


一方、もう一人の主役の日本人男性の方は、なんと、以前はゲストハウスに勤務されていたそうで、しかも、現在は大阪市内で花屋と英会話教室を運営されているそうです!!


さて、私たちAminoの演奏した3曲はどれも好評で、特に最後の3曲目に演奏した「風になりたい」は、サンバ風な打楽器を私たち二人以外にも参加してもらうべく、その場の参加者全員にカホンやら鈴からを鳴らしてもらいました。🤗 即席サンバ演奏が実現しました!😎


ちなみに、「風になりたい」は主役の日本人男性の好きな曲だったそうで、おそらくそのための主催者の方々からのリクエストでした。

また、'Let It Be' をリクエストされた理由は分かりませんが、この日、当の新郎の彼から聞いたのは、日本でゲイでいることはかなり厳しく、その苦渋をずっと味わってきたそうで、もしかしたら、そういった苦難の想いからの選曲だったのかも知れません。

なんと彼は、アメリカに渡り、様々な有名企業などの重役にアポを取り、ゲイについての認識を聞くためのインタビューをしてきたそうです。その中にはグーグル社も含まれていたそうで、インタビューを重ねるうちに、アメリカではゲイ男性がしっかりその立場を認められていて、尊重されていることを実感したそうです。そんなアメリカでの経験を経て、帰国後もゲイとして堂々としていこうと決めたそうです。✊


そんな、いろいろな話が聞けたこの結婚パーティーの終わりに、主催者の方が新郎たち二人に「さっきの3曲の中で1曲だけもう一回聴くなら、どれがいい?」と聞き、その曲をもう一度わたしたちAminoが披露して終わりとする流れとなりました。

そこで、そのイギリス人男性が選んだのは、'Let It Be' でした。

1曲だけ私がボーカルではなかった曲でした…。🥺


その彼が英語で結婚パーティーの挨拶をしていた中で、結婚相手の日本人男性のことを 'My husband' と呼んでいました。なるほど、至極当然な呼び方ですが、そこで疑問に思ったのは、日本人男性の彼はイギリス人男性の彼を 'wife' と呼ぶのだろうか、それとも彼らはお互いを 'husband' と呼ぶのでしょうか!?

'She' や 'her' の登場する歌は歌いませんでしたが、別の疑問が浮上しました。☕


このパーティーに参加できたのは私にとって貴重な体験となりました。

このお二人の結婚が幸せなものでありますように。👐




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